【計 算】
・最近のピーク電力⇒2009年8月7日15時に171GW(電気事業連合会「でんきの広場HP」より)
・原子力発電の発電容量(2009 年)⇒48.847GW(EDMC/エネルギー経済統計要覧(2011 年)より)
・原子力発電の利用率(2009 年)⇒65.7%( 〃 )
・利用可能と考えられる原子力による発電量⇒48.847GW×65.7%=32.1GW
・ピーク電力時の原子力による発電量の割合の試算⇒32.1/171=約18.8%
<参考:別の計算(名古屋大学准教授高野雅夫さんのブログで紹介されていた計算)>
※このブログは上のような計算をしているときに見つけました
・最近のピーク電力⇒2009年8月7日15時に171GW(電気事業連合会「でんきの広場HP」より)
・過去最大のピーク電力⇒2001年7月24 日15 時に183GW( 〃 )
・原子力発電の発電容量⇒約49GW( 〃 )
・原子力発電以外の発電方法で可能な発電量⇒183GW-49GW=134GW
・原子力発電を止めた場合に、最近のピーク時で足らなくなる発電量⇒171GW-134GW=37GW
・原子力発電を止めても停電にならないための節電割合⇒37/171=約21.6%
もちろんこれは「日本全体」の大雑把な数値なので、地域によって状況はかなり異なります。でも、まず
はこうして大雑把にとらえることはとても大切だと考えました。
そして、この状況(およそいまのピーク電力の20%減)となっていたのはいつの頃だろうと思って、電力消費量に関する情報を探していくと、それに当てはまるのが「1985年」であることがわかりました。そしてこの1985年は、いまの年間電力消費量の約40%以上も少なくなっていることがわかりました(2ページ
の表1参照)。最近の年間電力消費量における原子力発電の割合は30%ほどなので、「ふーん、1985年に戻れば原子力発電は要らなくなるんだ」と思いました。なお、上に紹介した高野さんのブログにも同じようなコメントがあります(高野さんには、今回のようなメッセージを出すことについて了解をもらっています)。
合計 |
産業部門 |
家庭部門 |
業務部門 |
運輸部門 |
||
2007 |
全体 |
15194 |
7159 |
2290 |
1870 |
3657 |
電力 |
3743 |
1628 |
1044 |
995 |
77 |
|
1985 |
全体 |
11325 |
5798 |
1562 |
1194 |
2465 |
電力 |
2128 |
1120 |
513 |
434 |
データなし |
|
差 |
全体 |
3868 |
1361 |
728 |
676 |
1192 |
電力 |
1616 |
508 |
531 |
561 |
--- |




<計算>
2007 年の原子力発電量⇒952PJ
2007 年の住宅部門(家庭部門)の電力消費量の1/2⇒522PJ
残り⇒952-522=430PJ
2007 年の業務部門の電力消費量⇒995PJ
残り(こうなればよい数値)⇒995-430=565PJ
565/995=56.8%
ただし、業務部門のエネルギー消費量や電力消費量を少なくすることがどの程度景気に影響するかということや、業務部門の電力消費量を56.8%カットできることの実現性について私は知識を持ち合わせていません。でも、業務部門の省エネルギーにはかなりの余地があるという話を専門家から聞いたことがあります。
景気を悪化させずにどこまでこの数値に近づくことができるかはわかりませんが、ぜひそちらの専門家やこの仕事に携わる人に頑張ってほしいと思います。
原子力発電による発電量 |
952PJ |
|
住宅部門(家庭部門)における削減量 |
522PJ |
現在(2007 年)の1/2 |
業務部門における削減量 |
430PJ |
現在(2007 年)の56.8% |
産業部門における削減量 |
0PJ |
経済の停滞を抑えるため |
運輸部門における削減量 |
0PJ |
〃 |
しかしまだ「夏のピーク電力20%削減」のほうのテーマが残っています。何をどうすればこの目標が達成できるかを考えなければなりません。ここで具体的な目標としては、年間発電量で検討した場合と同じように「電力ピーク時に、住宅部門(家庭部門)の消費量をどこまで削減できれば、産業部門の電力消費量が維持できるか?」ということを明らかにすることです。これを探るには、電力ピーク時の各部門の電力消費量の割合がわかればよいわけです。しかし、このデータがうまく見つかりませんでした(もし誰かデータを持っていれば教えてください)。もしこの話の参考になるとすれば、2011 年の夏に予想されている電力不足に対する対応です。4 月8 日に政府が発表した対応策をかいつまんで書くと次のようになります。
・昨夏のピーク電力は6000 万kW
・東京電力管内では1500 万kWの電力不足となることを想定
・節電分で1000kWを負担すると想定(ピーク電力に対して約16.7%の削減)
・500W以上の大口需要家については25%削減を目標
・500W以下の小口需要家については20%削減を目標
・家庭では15~20%削減を目標
こうした対策はおそらく「実現のしやすさ」という要素が入り込むので、電力需要のバランスと合っているかどうかはわかりません。政府と電力会社はどのような根拠と考え方でこうした計画にしたのかがわかればよいのですが、開されていないのでわかりませんでした。したがって、「景気への影響が少ない住宅部門(家庭部門)のピーク電力消費量をどこまで削減できれば、産業部門のピーク電力消費量がどこまで抑えられるか?」というテーマの答えは残念ながら不明です。ただし、当たり前ですが、家庭で夏の暑い時間の電力消費量が抑えられれば、産業への影響は小さくなるはずです。そしてできる限り身体への負担がない形でエアコン消費量を少なくできるのがよく(2010 年の夏のように、家庭において熱中症で亡くなる人が多発しないようにしたいですよね)、それには住まいのあり方や熱の暑さをしのぐ暮らし方の工夫が大切になってきます。
そもそもエネルギーのことを考えなければならないのは次のような問題や課題があるからです。
・化石燃料資源や核燃料の枯渇
・エネルギー価格やエネルギー供給の安定化(エネルギーの安全保障的な問題)
・化石燃料資源の消費が地球温暖化につながる
わが国の政府が「国策」として原子力発電を推進してきたのは、こうした全体を見渡したときに妥当な方針であると考えたからです。なので、ただ単純に原子力発電をなくせばよいという話にはなりません。
ここで、こうした課題や問題を解決しようとするときに「間違いなく正解」と言えるのは「省エネルギー」です。エネルギー消費量を抑えることは、こうした課題や問題を解決したり、解決しやすくなったりすることは間違いのないことだと思います。もちろん省エネルギーを進めることによる“副作用”のことは考えないといけませんが、たとえばわが国の産業部門は「経済と省エネルギー」を高いレベルで両立させてきました。
このメッセージが省エネルギーのことを強調しているのは、このような理由からです。このメッセージを考える大きなきっかけになったのは福島原発事故ですが、目指すのは原子力発電に頼らない社会にするだけではありません。「原子力発電に頼らない」「産業部門のエネルギー消費量削減を最小限にして景気を停滞、悪化させない」「原子力発電の増強によるCO2 排出削減が厳しくなった状況でもCO2 排出削減は進める」という“理想”を追い求めるために、住宅部門(家庭部門)の電力消費量だけではなく、エネルギー消費量も1/2にしようと呼びかけているのです。
図2 に示したのは、いくつかの典型的な住宅モデルにおける、エネルギー消費量と電力消費量を試算した結果です。試算に使用したのは「住宅事業建築主の判断基準算定用プログラム」及び「自立循環型住宅への設計ガイドライン」です。これらからそれぞれのモデルの1次エネルギー消費量を算出し、設定した設備について電気を使うものだけを取り出して1次エネルギー消費量として算出しています。
この結果について簡単にコメントしておくと、やはりオール電化住宅は「eNe1/2&eLe1/2」を実現しにくいということがわかります。1次エネルギー消費量のすべてが電力によるものなので、すべてのエネルギー消費量を少なくする必要があるからです。
なお、試算に使用した条件とグラフで示している言葉の意味は次の通りです。詳しいモデルの検討内容については資料「住宅モデルによるエネルギー消費量の検討」をご覧ください。
【条件】
・地域⇒温暖地(詳しくはⅣb 地域) ・立地⇒郊外 ・家族人数⇒4 人
【言葉の意味】
・次世代⇒次世代省エネルギー基準レベルの断熱性(詳しくは熱損失係数=2.7W/㎡ K)
・パッシブ⇒通風、昼光利用、日射遮蔽、日射熱の暖房利用などを積極的に活用できる設計の建物
・高効率設備⇒照明機器、換気扇、家電について高効率の設備を使用
図2 いくつかの住宅モデルにおけるエネルギー消費量と電力消費量

わが国の伝統的な建築では、とくに夏の暑さをしのぐ工夫としてのパッシブデザインがありました。ところが安価で便利なエネルギーが使えることになって、そうした工夫は失われてしまいました。たとえば、いまの住宅のほとんどは日射遮蔽にまったく考慮されていないことがわかります。
伝統的なパッシブデザインの発想に加え、断熱性を向上させ、日射熱によって暖房するという現代的なパッシブデザインを行うことにより、快適性と省エネルギーが両立することになります。これから、わが国では様々な場面で「我慢」を強いられてくると思うのですが、十分なパッシブデザインを考えることによって、その我慢が少しでも和らぐことになるはずです。ただ我慢するのではなく、こうした知恵を働かせることで、 前向きに、楽しく、省エネや省電力消費に向かっていけるのではないでしょうか。
またもちろん、パッシブデザインが十分ではない住まいにおいても、太陽や風などの“自然の力”をうまく使う知恵はたくさんあるはずです。このメッセージによって、そうした暮らしの知恵を見直し、集めていくことになればとてもうれしいです。以下に、これまでの私の研究や実践から学んだ、快適性と省エネルギーとを両立させる暮らし方を挙げておきます。
■パッシブデザイン要素住宅戸数 |
うち一戸建て住宅 |
新設一戸建て住宅 |
うち注文住宅 |
約4900 万戸 |
約2700 万戸 |
約80 万戸/年 |
約30 万戸/年 |
このように、既存住宅の数に対して新築住宅の占める割合は小さく、さらに新築一戸建て注文住宅の割合は小さくなります。もし新築一戸建て注文住宅がすべて「1/2」になったとしても、「すべての住宅が1/ 2になる」という目標は何年経っても実現できません。
しかし、この程度の割合であっても、どんどん新築一戸建て注文住宅が「1/2」になっていけば、そうした動きは世の中が放っておかないと考えます。また、新築一戸建て注文住宅の供給者には、省エネルギーや原子力発電の問題に対して関心の高い企業や人がかなりいます(これは間違いありません)。おそらくマンションを含む分譲住宅の提供者や賃貸住宅の供給者よりもその割合は相当に高いと思います。とすれば、“住宅分野=1/2(1985)”という目標に対し、それを先導する立場にある企業や人として、新築一戸建て注文住宅の供給者がもっともふさわしいし、彼らしか可能性はないと思います。意識の高い新築一戸建て注文住宅の供給者には大いに期待しています。もちろん、こうした「下からの(草の根的な)」動きよりも、「上からの(行政の施策としての)」動きが影響力は大きいかもしれません。しかし、私は「上からの施策」に「下からの動き」を加味することで、より目標に到達しやすいと確信しています。
もちろん、既存住宅を省エネルギーしやすい住まいにリフォームすることは極めて重要です。現実的にはそこが最大のポイントになるでしょう。国が提案している「地球温暖化対策ロードマップ」では既存住宅の 省エネ化を「年1%(年間約50万戸)」のペースで進めていこうと考えていますが、そのペースをさらに上げたいところです。そこでは何よりも「できる限り費用のかからない省エネリフォーム」の提案がポイント になります(そのあたりは後述します)。
私としては、新築の省エネ化(Forward to 1985)が既存住宅の省エネ化のムードを引っ張るようになればいいなと思っています(景気対策にもなりますし)。
なお、省エネルギー・省CO2 に関する行政の施策としては、この「地球温暖化対策ロードマップ」が参考になると思います。ここでは一定に原子力発電に頼るという考え方になっていますが、そこを差し引いても省エネルギー、省電力消費に向かう精査された計画と具体的な方法を見ることができます。
電力消費量 |
都市ガス消費量 |
灯油消費量 |
||
2484kWh |
347m3 |
54ℓ |
||
単位発熱量 |
9.76MJ/kWh |
41.9MJ/m3 |
36.7MJ/ℓ |
合計 |
1 次エネルギー消費量 |
24244MJ |
14539MJ |
1982MJ |
40765MJ |
次に総務庁で実施している家計調査(2004 年)から求めた大阪市の家庭におけるエネルギー消費量と電力消費量の平均値を表5 に挙げます。実際には「(有)ひのでやエコライフ研究所のHP」に紹介されている数値や方法を使って計算しました。このHPにはとても参考になる情報が満載なのでお勧めです。
なお、全国どこでもこうした計算ができるように、資料「自宅の省エネ度を評価する方法」としてまとめていますので、ぜひご活用ください。
家族人数 |
エネルギー消費量 |
電力消費量 |
| 1人 |
50090MJ/年 |
3327kWh/年 |
2人 |
71078MJ/年 |
5098kWh/年 |
3人 |
89284MJ/年 |
5993kWh/年 |
4人 |
93240MJ/年 |
6166kWh/年 |
5人 |
111871MJ/年 |
7291kWh/年 |
6人 |
131750MJ/年 |
8845kWh/年 |
我が家は3 人家族なので、エネルギー消費量としては89,284MJ/年を、電力消費量としては5993kWh/年を見ればよく、「eNe1/2&eLe1/2」となる目標値はそれぞれ44,642MJ/年、2997 kWh/年となります。どちらも「目標達成!」となっています(表6)。
目標値 |
我が家 |
合否 |
平均値に対する割合 |
|
| エネルギー消費量 |
44642MJ/年 |
40765MJ |
○ |
45.7% |
電力消費量 |
2997kWh/年 |
2484kWh/年 |
○ |
41.4% |
こんなエネルギー消費量と電力消費量ですが、取り立てて不便なことはありません。ただ冬は寒く、夏は暑い家であり(1987 年築)、2009 年までは相当に夏も冬も我慢していました。 しかし 2010年の秋に大規模リフォームをして、その後の冬はとても暖かくなり、太陽熱温水器をつけたのが効いて、2011年のガスの消費量は相当に削減できると思います。また夏対策もいろいろ施したので、夏の我慢もかなり少なくて済むようになると思います。なので、エネルギー消費量は2009 年よりもさらに少なくなるでしょう。
今後我が家の詳しい分析を行い、またそれもご報告しますが、簡単に我が家の特徴を挙げておきます。
・妻は会社員で平日は朝から夜まで家にいない
・子供は中学校2 年生男子(2011 年4 月から)
・私は月~金までの2 日~3 日くらいは出張で家にいない
・エアコンはなく、暖房はガスファンヒーターと灯油ファンヒーターとコタツ
・テレビは液晶の24 型。1 日の視聴時間平均は2 時間くらい。
・冷蔵庫は2010 年の夏に買い換えた(これで電力消費量がさらに10%ほど減った)
・食洗機、暖房便座はなし。洗濯機に乾燥機能はついていない
こんな感じなのですが、「がんがん省エネをやるぞ!」ととくに気合を入れて生活をしているわけではありません。なので、なぜ「エネルギー消費量も電力消費量も半分以下」になっているのかがよくわかりません。
いや、なぜみんなそんなにエネルギーや電気を使っているのかがわからないのです。まあとにかく、「1985(eNe1/2&eLe1/2)」はそんなに難しい話ではないように思うのです。
なお、自邸のリフォームでの経験も踏まえた「これはお勧め!」というリフォームの内容を挙げておきます。これだけなら費用も相当に抑えられるはずです。
■窓の断熱化は「内窓(インナーサッシ)」が何より効果的だし、安い
■「どこか一部でも断熱を」と考えるなら天井断熱がお勧め
■夏対策としては「可変ルーバー付雨戸」が何よりお勧め
■太陽熱温水器はすごいのでぜひ